外国企業の日本支店・子会社設立|手続きと登記の流れ
こんにちは。堀内行政書士事務所の行政書士 堀内友起子です。
「本社は海外のまま、日本に拠点をつくりたい。支店と子会社のどちらがいいの?」——海外企業のご担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。どちらを選ぶかで、登記の手続き、本国で用意する書類、日本に来る方のビザが変わります。
今回は、外国企業が日本に支店・子会社を設ける手続きの流れを、本国で準備する書類や外為法の届出も含めて一緒に見ていきましょう。

この記事のポイント3つ
- 支店は海外本社の一部として「外国会社の登記」をし、子会社は日本の株式会社・合同会社として新しく設立します。
- どちらも本国の会社の宣誓供述書やサイン証明など、海外で用意する書類が必要で、準備には2〜3か月ほどみておくと安心です。
- 業種によっては外為法の届出が必要です。日本に派遣する方のビザ(経営・管理、企業内転勤)もあわせて計画しましょう。
1. 支店と子会社はどう違う?
いちばん大きな違いは、日本での事業の責任を誰が負うかです。支店は海外本社そのものが日本で営業する形なので、契約や債務の責任は本社が負います。子会社は日本の会社として独立しているため、責任は原則として出資額の範囲にとどまります。
| 項目 | 支店 | 子会社(株式会社・合同会社) |
|---|---|---|
| 法的な位置づけ | 海外本社の一部 | 日本の独立した会社 |
| 登記 | 外国会社の登記 | 会社の設立登記 |
| 責任の範囲 | 本社が負う | 原則として出資額まで |
| 資本金 | 不要(支店としての資本金はない) | 会社法上は1円から |
| 代表者 | 日本における代表者のうち1名以上は日本に住所が必要 | 日本に住んでいない方でも代表者になれる |
| 日本での税金 | 日本で生じた所得に課税 | 子会社の所得に課税 |
取引先や金融機関からの信用、将来の事業の広げ方、撤退するときの手続きまで考えると、子会社を選ばれる企業が多い印象です。日本で営業をせず市場調査だけを行う場合は、登記のいらない駐在員事務所という選択肢もあります。形態ごとの比較は「日本法人設立ガイド|会社形態の比較とビザ【2026年】」でくわしく紹介しています。
2. 日本支店はどうやって設置する?
日本支店は、法務局で「外国会社の登記」をすることで設置します。登記をするまでは、日本で継続して取引をすることはできません。
登記する内容は、本社と性質がいちばん近い日本の会社(多くは株式会社)にならって整理し、そこに支店の所在地や日本における代表者など、外国会社に特有の事項を加えます。日本における代表者のうち少なくとも1名は、日本に住所がある方でなければなりません。
- 登記する内容(商号、支店の所在地、日本における代表者など)を決める
- 支店の事務所を確保する
- 本国で、会社の概要と支店設置についての宣誓供述書を作成し、認証を受ける
- 宣誓供述書などの日本語訳を用意する
- 法務局に外国会社の登記を申請する
- 登記事項証明書を取得し、銀行口座の開設や税務署などへの届出を進める
3. 日本子会社の設立はどんな流れ?
日本子会社は、海外本社が出資者(発起人)となって、日本の株式会社または合同会社を設立します。法務局に設立登記を申請した日が、会社の設立日です。株式会社の場合の主な流れは次のとおりです。
- 会社の概要(商号、事業目的、本店所在地、資本金、役員)を決める
- 本国で、親会社の登記証明書や宣誓供述書、代表者のサイン証明を用意する
- 定款を作成し、公証役場で認証を受ける(合同会社は認証不要)
- 資本金を日本の銀行口座に払い込む
- 法務局に設立登記を申請する(この日が設立日)
- 法人口座の開設、税務署・社会保険などの届出、外為法の手続きを進める
つまずきやすいのが資本金の払込みです。払込先は原則として日本国内の銀行口座で、役員や発起人に日本の口座をお持ちの方がいない場合は、誰の口座を使うかを最初に決めておく必要があります。
4. 本国で用意する書類は?
支店・子会社のどちらでも、本社が実在すること、代表者に権限があることを示す書類を本国で用意します。大きく分けると次の3つです。
本国で準備する主な書類
- 本社の登記証明書など、会社の存在を示す公的書類
- 会社の概要や代表者を記載した宣誓供述書(本国の公証人や在日大使館などで認証)
- 代表者・役員になる方のサイン証明(印鑑証明書の代わり)
外国語の書類には日本語訳をつけます。本国の書類は取り寄せや認証に時間がかかるため、ここが全体のスケジュールを左右します。必要な書類は本社の国や会社の状況によって異なります。当事務所では、状況に合わせた書類リストと必要な作成書式をあわせてご案内しています。
5. 外為法の届出は必要?
海外の会社が日本に子会社をつくる、または支店を設けることは、外為法上の「対内直接投資等」にあたります。多くの業種では設立後に日本銀行を通じて事後報告をすれば足りますが、安全保障に関わる一部の業種では、事前の届出と審査期間が必要です。
注意したいポイント
- 事前届出が必要な業種で届出をせずに設立すると、外為法違反になるおそれがあります。事業目的を決めた段階で確認しましょう。
- 支店は登記するまで日本で継続的な取引ができません。契約や採用の開始時期は登記の予定から逆算します。
- 日本で法人口座を開設する際は、事業の実態や事務所の契約内容を確認されるため、すぐに開設できないこともあります。
6. 日本に派遣する社員のビザは?
日本の拠点で働く方には、その方の立場に合った在留資格が必要です。拠点の登記が済んでも、ビザが自動的に下りるわけではありません。
- 経営・管理:日本支店・子会社の代表者や支店長として経営や管理を行う方。2025年10月16日の改正で、資本金等3,000万円以上や常勤職員1名以上などの要件が加わりました(「経営・管理ビザの新要件まとめ【2026年】」)。
- 企業内転勤:海外の本社などで1年以上続けて働いている社員を、日本の支店・子会社に期間を決めて派遣する場合。
どの在留資格になるかで、拠点にどれだけの規模や資金が必要かも変わります。拠点の形を決める段階で、誰を、どのビザで日本に呼ぶかまで一緒に計画しておくと、あとから計画を組み直さずに済みます。
よくある質問
支店から子会社に切り替えることはできますか?
支店をそのまま子会社に組織変更することはできません。子会社を新たに設立し、支店を閉鎖する手続きを別々に進めます。
設立までどのくらいかかりますか?
本国の書類の準備を含め、支店で約2か月、子会社で2〜3か月ほどが目安です(JETROの案内による)。
子会社の代表者は海外に住んだままでもいいですか?
はい、会社法上は可能です。ただし銀行口座の開設や日々の運営を考えると、日本に住む役員や担当者がいると手続きが進めやすくなります。
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まとめ
外国企業の日本進出では、支店か子会社かを決めることが出発点です。そのうえで、本国の書類、外為法の届出、日本に派遣する方のビザを一緒に計画すると、拠点の立ち上げをスムーズに進めやすくなります。
当事務所では、定款などの書類準備から在留資格の申請まで一括でサポートしています(登記申請は提携する司法書士が担当します)。サポート内容は、会社設立・日本進出サポートのご案内でご確認いただけます。
この記事が、日本への拠点設立をご検討される際に、少しでもお役に立てば幸いです。ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
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