この記事のポイント3つ
- 芸術ビザの対象職種と「興行ビザ」「文化活動ビザ」との違いが明確にわかる
- 必要書類・収入要件・推薦状など、審査の具体的ポイントを行政書士が解説
- 手続きの流れと、更新・変更・相談先までトータルで理解できる
1. 芸術ビザとは?どんな人が対象になるのか
芸術ビザ(在留資格「芸術」)は、日本で収入を得ながら芸術活動を行うための就労ビザのひとつです。一般的には「アーティストビザ」と呼ばれることもあります。
対象となるのは、以下のような分野で創作・指導を行う方です。
区分 | 具体的な職種例 |
---|---|
創作活動 | 作曲家、画家、彫刻家、工芸家、著述家、写真家など |
芸術指導 | 音楽・美術・文学・写真・演劇・舞踏・映画などの指導者 |
▶︎つまり、自ら創作する方と、芸術上の活動を指導する方の両方が対象になります。
公式の定義は 出入国在留管理庁|在留資格「芸術」 をご確認ください。
2. 興行ビザ・文化活動ビザとの違い
ビザの種類 | 主な対象 | 収入の有無 | 具体例 |
---|---|---|---|
芸術ビザ | 創作・指導などの芸術活動 | 収入あり | 作曲家・写真家・アート講師など |
興行ビザ | 演劇・音楽・スポーツなどの興行 | 収入あり | ダンサー・俳優・歌手など |
文化活動ビザ | 収入を伴わない芸術・学術研究 | 収入なし | 無償での創作、日本文化研究など |
たとえば、写真家が個展で作品を販売する場合は芸術ビザ、無報酬で展示するだけなら文化活動ビザに該当します。
3. 芸術ビザの入管審査で重視される3つのポイント
① 芸術上の実績があること
芸術家としての実績を証明できることが最も重要です。実績の例:
- コンクールでの入賞・入選(例:国内外のアートフェア)
- 展覧会への出展(例:JETRO 登録イベントなど)
- メディア掲載や批評記事
- 推薦状(関係団体やクライアントから)
- 作品の目録・ポートフォリオ
行政書士コメント:
「受賞歴がないから無理」と諦める必要はありません。これまでの活動履歴を丁寧にまとめ、作品を体系的に示すことで十分評価されます。
② 芸術活動による安定した収入
求められるのは芸術活動による収入です。アルバイト収入や他職種の報酬は含まれません。金額基準は明示されていませんが、「日本で生活できる程度の安定収入」が必要です。
複数の契約がある場合は合算できます。契約書サンプルは こちら で紹介しています。
③ 芸術活動の具体性・独立性
- 契約先がある場合:契約書に活動内容・報酬・期間を明記。
- 個人活動の場合:活動計画書(内容・期間・収入見込)を提出。
所属機関がなくても問題ありません。フリーアーティストとしての申請も可能です。

4. 芸術ビザの申請に必要な書類一覧
区分 | 提出書類の内容 |
---|---|
基本書類 | 在留資格認定証明書交付申請書、写真(4×3cm)、パスポートコピー |
活動証明 | 契約書または活動計画書(収入見込み・期間) |
経歴証明 | 芸術活動経歴書、推薦状、作品目録、受賞歴など |
その他 | 必要に応じて戸籍・身分証明書、結核非発病証明書(対象国) |
* 詳細は 出入国在留管理庁|在留資格認定証明書交付申請 をご参照ください。
5. 手続きの流れ(初めて申請する場合)
- 必要書類を準備
- 入管にて在留資格認定証明書交付申請
- 審査
- 認定証明書(COE)交付
- 在外日本大使館でビザ申請
- 芸術ビザ発給 → 日本入国
堀内行政書士事務所の依頼の流れは こちら をご覧ください。
6. 更新・変更手続きについて
芸術ビザの在留期間は5年・3年・1年・3カ月のいずれか。
満了前に更新申請を行えば継続滞在が可能です。
- 更新申請:満了日の2〜3ヶ月前から受付
- 変更申請:活動内容が変わったとき(例:文化活動ビザ→芸術ビザ)
関連リンク: 東京入国管理局の更新ページ
行政書士コメント:
入管は活動内容を細かく確認します。創作中心か、指導中心かを明確に説明することが大切です。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 無報酬の活動期間があっても芸術ビザは取れますか?
A. 問題ありませんが、将来的な収入見込みを説明する必要があります。初期は文化活動ビザ→芸術ビザへの変更も可能です。
Q2. 所属機関がない場合、申請できますか?
A. 可能です。個人活動として計画書を提出します。
Q3. 指導と演奏を両方行う場合はどちらのビザ?
A. 演奏が主なら興行ビザ、指導が主なら芸術ビザです。
Q4. 自作の絵を販売したい場合は芸術ビザ?
A. はい、創作した作品を販売する活動は芸術ビザが該当します。

Q5. 実績が少ない場合、どう補えばいいですか?
A. 推薦状や作品目録などを整え、活動履歴を丁寧に説明することで十分カバーできます。
8. 堀内行政書士からのメッセージ
芸術ビザは活動範囲が広く、興行ビザや文化活動ビザと重なる部分もあります。実績や収入の判断が難しいため、専門家のサポートを受けることで、正確かつ安心して手続きできます。
芸術活動の形は人それぞれです。あなたの作品や活動を尊重しながら、最適な在留資格をご提案いたします。 一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談くださいね。
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