「帰化(日本国籍取得)」を考えている方にとって、2025年末から続く報道は無視できません。政府・与党は、帰化の要件について審査運用を見直すことで、居住要件を実質的に延長する案を検討していると報じられています。具体的には、現行の「5年以上」という“申請の入口”は法律上そのままでも、許可が出やすい水準を事実上「10年以上」へ引き上げる方向性が取り沙汰されています。
しかも注目点は、年数だけではありません。税金や社会保険料(年金・健康保険)の滞納歴を、帰化審査でこれまで以上に厳しく見る方向も検討されているとされています。
本記事では、現時点(2026年1月時点)で公開情報から読み取れる「何がどう変わり得るのか」を整理し、帰化を検討する方が今から準備しておくべき実務ポイントを、わかりやすくまとめます。
この記事でわかること
- 帰化の「居住5年」が、なぜ「実質10年」へ議論されているのか
- 法改正がなくても、運用変更で厳格化が起こり得る理由
- 厳格化の中心になると見られる3つのポイント(居住・納税社保・生活基盤)
- 帰化と永住、どちらを先に考えるべきか(比較表あり)
1. 最新動向まとめ(2026年1月時点):政府は「帰化要件の厳格化」を検討
複数の報道によれば、政府は外国人政策の取りまとめ(2026年1月頃)に向け、帰化要件を厳格化する方向で検討を進めています。論点の柱は、永住許可(原則10年以上)より短い「居住5年以上」という帰化の要件を、審査運用の見直しなどで実質的に延長する案です。
また、首相が関係閣僚会議で法務大臣に検討を指示したこと、政府として外国人の受入れ・共生をめぐる会議体を設置して議論を進めていることも確認できます。
2026年1月中にも総合的対応策を取りまとめる方針だという報道もあり、制度の「方向性」が固まるスピードは想像以上に速い可能性があります。
2. なぜ「5年」→「10年」なのか:永住との“逆転現象”が問題視
今回の議論で繰り返し出てくるキーワードが、「永住より国籍の方が要件が緩いのは不合理」という問題意識です。報道では、永住許可は原則10年以上の在留が必要とされる一方、帰化は5年で申請できるため、より重い法的地位(国籍)の方が到達が早いように見える点が論点とされています。
もちろん、帰化は年数だけで決まる制度ではありません。日本語能力、納税、素行、生活の安定など複数要素を総合判断する仕組みです。しかし、政策面では「入口の年数」が象徴的でわかりやすいため、整合性の議論が強くなっていると考えられます。
3. 法改正なしでも厳格化は起きる?「運用変更」の意味を正しく理解する
今回の特徴は、国籍法を直ちに改正するのではなく、審査運用(実務)を変えるという発想が中心にある点です。
ここで重要なのは、次の構図です。
- 法律上:「5年以上居住」で申請の要件を満たし得る
- 実務上:「10年以上の安定した在留実績」がないと許可が出にくくなる(可能性)
つまり、「申請できる」=「許可が出る」ではないというギャップが、より大きくなる可能性があります。加えて、運用で基準が動く場合、国会審議を伴わずに実質的な難度が上がることへの懸念が指摘される点も、議論を複雑にしています。
4. 厳格化の中心になり得る3つのポイント(2026年以降の実務で起こりそうなこと)
ポイント1:居住期間の「実質延長」
単に「住民票が5年ある」ではなく、日本で生活の拠点が継続しているか、そして安定した在留歴が長く積み上がっているかが、より強く意識される可能性があります。
特に、次のような要素は“説明責任”が増える傾向です。
- 転職回数が多い/短期離職が続く
- 無職期間が長い・繰り返す
- 海外への長期出国が多い(生活基盤が日本にあるのか疑われやすい)
- 在留資格変更が頻繁で、生活の連続性が見えにくい
ポイント2:税金・社会保険料の滞納歴の厳格評価
報道では、税や社会保険料の滞納歴などを判断の際に厳しく見ることも検討されているとされています。
実務目線では、次が特に重要です。
- 住民税・所得税:未納、延滞、分納の履歴
- 年金:未加入期間・未納期間(会社員でも転職期の空白に注意)
- 健康保険:国保・社保の切替期の納付の抜け、督促履歴
「過去に遅れがあったが今は完納」でも、いつ・なぜ・どう解消したかを説明できる整理が重要になります。
ポイント3:生活基盤の安定性(“日本で暮らし続ける実態”の評価)
帰化はもともと裁量要素が大きい制度です。運用が厳格化されると、要件を満たしていても不許可、地域差、審査長期化などの“ブレ”が増える可能性が指摘されます。
裏返すと、生活の安定を「資料で見える化」できる人ほど強い局面になります。
5. 数字で見る帰化:申請数・許可数は増加(ただし今後は“質”が問われる可能性)
法務省民事局の統計資料によれば、2024年の帰化申請者数は12,248人、許可者数は8,863人とされています。
申請ボリュームが増える局面で運用が厳格化されれば、追加資料の要求や審査長期化など、申請者側の負担が増えるシナリオも十分あり得ます。
6. 帰化と永住、どっちが先?(比較表)
| 項目 | 帰化(日本国籍) | 永住許可 |
|---|---|---|
| 法的地位 | 日本国籍を取得(参政権などを含む) | 国籍は維持したまま在留資格の最上位 |
| 居住年数(一般論) | 法上は「5年以上」だが、運用で厳格化議論(今後実質10年の可能性) | 原則「10年以上」が一般的に知られる基準 |
| 審査で重いポイント | 日本語、素行、生活安定、税・社保、生活実態 | 安定収入、納税・社保、素行、在留状況 |
| 今後のトレンド(予測) | 居住・納税社保の厳格評価が強まる可能性 | 従来通り厳格+政策全体の“適正化”の影響を受ける可能性 |
今後「帰化の実務基準が10年寄り」に動くなら、永住を取ってから帰化という二段階設計が、より一般的になる可能性があります。
7. 2026年以降の想定シナリオ(確定ではないが、備えるべき3パターン)
シナリオA:法律は据え置き、運用で「10年」重視が強まる
最も現実的なパターンです。申請要件(5年)は変わらずとも、許可判断の水準が上がるため、5~9年在留の方に影響が出やすい構図です。
シナリオB:運用強化+納税・社保の“厳格評価”が前面に
年数よりも、税・社保の未納情報や生活基盤の安定性を強く評価する運用に寄るパターンです。実務上は「年数は足りているのに落ちる」事例が増え得ます。
シナリオC:基本方針が出た後、さらに具体的ガイドラインが整備される
2026年1月中にも総合的対応策を取りまとめる方針が報じられており、基本方針→運用整備という順で“実務が変わる”可能性があります。
8. 今からできる実務準備チェックリスト(帰化・永住の両方に効く)
(1)税金・社会保険の棚卸し
- 住民税:未納・延滞・分納がある場合、完納日と経緯を整理
- 年金:未加入期間がないか/免除・猶予の履歴は説明可能か
- 健康保険:国保・社保の切替期に未納がないか
- 確定申告(個人事業主・フリーランス):申告の整合性、納税証明の取得準備
(2)在留歴・出入国歴・住所歴を「年表化」
- いつ、どの在留資格で、どこに住み、どの会社(/取引先)で働いたか
- 出国が多い場合は、目的・期間・日本での生活基盤が維持されていた根拠
(3)職歴・収入の安定を“説明できる形”に
- 転職が多い場合:キャリアの一貫性、収入の安定、今後の見通し
- 収入変動が大きい場合:業界特性(季節性・プロジェクト型)と生活維持の根拠
(4)素行(交通違反等)・生活実態の整理
- 交通違反、反則金、トラブル履歴は“軽微でも”説明が必要になり得る
- 家族構成、扶養、子どもの学校など、日本での生活実態を補強する情報
(5)日本語力は「生活できる」から「説明できる」へ
帰化は面談・書類・質疑がセットです。日本語が不安な方は、学習履歴や実務で使っている証拠(職務、資格、試験等)を含め、早めに対策しましょう。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 法律が変わらないなら、5年で申請すれば大丈夫?
A. 帰化は「申請できる」と「許可が出る」が一致しない制度です。運用が厳格化すれば、5年到達だけで安心できない可能性があります。
Q2. 過去に税金や年金の遅れがあったら、もう無理?
A. 一律に断定はできません。ただし、滞納歴の評価が厳しくなる方向が報じられているため、完納と説明資料の整備が極めて重要になります。
Q3. 例外はある?
A. 報道では、原則10年以上の基準を設ける場合でも、社会的貢献が認められる人など例外規定を維持する見通しが示されています(具体像は今後)。
10. まとめ:厳格化は「先延ばし」より「準備の前倒し」が強い
現時点で「帰化の居住要件が正式に10年へ改正された」と確定したわけではありません。しかし、政府が運用見直しで実質的に居住要件を延長し、税・社会保険料の滞納歴を厳しく評価する方向を検討していることは、複数の報道で示されています。
変化期に強いのは、いつでも説明できる状態を作っている人です。特に、
- 税・社保の履歴がクリーン(未納・空白がない)
- 在留歴・職歴・生活基盤が安定している
- 出入国や転職の理由を資料で合理的に説明できる
この3点を押さえると、制度がどう動いてもリスクを下げられます。
「今申請すべき?永住が先?」を個別に設計したい方へ
帰化・永住は、同じ「長期在留」でも最適ルートが人によって異なります。特に制度変更期は、タイミングと順序が結果を左右します。
- 在留年数/在留資格の変遷
- 住民税・年金・健康保険の納付状況
- 職歴・収入の安定性、家族状況
上記を整理した上で、「いつ動くのが最も安全か」「帰化と永住のどちらを先に取るべきか」を設計するのが合理的です。
本記事は公開情報・報道を基にした一般的解説であり、個別案件の結論を保証するものではありません。実際の許可可能性は、個別事情と管轄当局の判断により異なります。
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